奈良文化財研究所(奈良市)は、2014年12月11日に、藤原宮跡(橿原市)東部にある当時の役所エリアの「東方官衙(かんが)地区」で、楼閣か高床の倉庫とみられる建物の跡がみつかった事を発表しました。官衙地区から礎石を伴う建物跡が見つかるのは初めてのことです。
建物跡は東西約11 m、南北約8 mで、格子状に柱を数多く配置した「総柱」と呼ばれる構造で、柱の下に礎石を据えた格式の高い建物だったことが判明しました。
研究者は天皇などが民の様子を見るのに利用した楼閣状の施設だった可能性も指摘しています。
現地説明会は12月14日に開催されます。
問合先: 奈良文化財研究所 0744-24-1122
産経west 2014/12/11
カテゴリー: 遺跡・文化財関係
奈良国立博物館(奈良市)で2014年10月24日から開催されていた第66回正倉院展が11月12日に終了しました。会期中の入場者は269,348人で、1946年の第1回からの通算入場者数が900万人を超えました。
本年は天皇皇后両陛下傘寿記念として、会期を例年より3日長い20日間とし、最終日の11月12日は入場無料としました。
読売新聞 2014/11/13
元興寺(奈良市)所蔵、「紙製地蔵菩薩立像」(江戸時代)の内部に、小型の地蔵菩薩像が17体納められていたことが判明し、2014年8月19日元興寺文化財研究所が発表しました。
地蔵菩薩立像は紙を貼り重ねた張り子状のもので、修復のためX線撮影したところ、内部に木製地蔵菩薩像17体などが納められていることが確認されました。
壊れやすい紙製の仏像は全国で十数例しか残っていないとのことです。
この像は2014年8月23~24日、元興寺で開かれる地蔵会の際に初めて公開されます。
読売新聞(大阪) 2014/8/20
松尾寺(大和郡山市)では放馬図・舎人親王像を期間限定で特別公開(要拝観料)しています。
7/25(金)まで、毎日9時~16時。
拝観料: 境内拝観無料、当別公開 1名300円
問合先: 松尾寺 TEL: 0743-53-5023
大和路アーカイブ – 放馬図・舎人親王像一般公開
東大寺(奈良市)では下記により「聖武天皇・光明皇后 御影 並びに 東大寺本坊襖絵 一般公開」を行います。
期日: 2014年4月11日~2014年4月13日
時間: 各日10時~17時(入場は閉門30分前まで)
場所: 東大寺本坊
公開内容
東大寺本坊大広間
聖武天皇・光明皇后御影(2006年 小泉淳作画)
襖絵40面(2010年 小泉淳作画)
銀大香炉(大正天皇ご下賜)
東大寺本坊内天皇殿
聖武天皇坐像(江戸時代)
菩提僊那僧正坐像(2002年)
青龍香炉(せいりゅうこうろ、1980年 帖佐美行作)
白鳳凰華瓶(はくほうおうけびょう、1980年 帖佐美行作)
輿(1914年(大正3))
東大寺本坊校倉(奈良時代・国宝)外構
拝観料: 一般1000円
問合先: 華厳宗大本山東大寺本坊 TEL: 0742-22-5511
大和路アーカイブ – 東大寺本坊公開
興福寺(奈良市)に奈良時代から伝わる儀式用の楽器「華原磬」(かげんけい・国宝)の台座が、天川村洞川産の大理石を使って復元されました。古文書に「洞川産大理石を使用されていた事が記されていますが、現在は失われて木製台座に設置されています。
今回、地元の洞川地区から石材の寄進を受け、1300年前の姿がよみがえりました。2014年4月3日から同寺国宝館で公開されています。
2014年4月4日 奈良新聞
橿原市博物館(旧・千塚資料館をリニューアル)は2014年4月1日に開館しました。現在、下記により開館記念企画展を行っています。
企画展「里ひらく‐京奈和自動車道の築造と遺跡の新発見‐」
会期: 2014年4月1日~6月1日
展示会概要(同展案内より)
橿原市の西部から大和高田市、御所市にかけての地域は、これまで遺跡の存在は想定されていたものの発掘調査の件数が少なく、「遺跡の空白地帯」と言われていました。
しかし、近年の京奈和自動車道築造に伴う発掘調査により、次々とその姿が明らかとなっています。
歴史に憩う橿原市博物館 – 開館記念企画展
問合先: 「歴史に憩う橿原市博物館」TEL: 0744-27-9681
毎年4月の第一日曜日(2014年は4月6日)には千塚古墳群周辺で被葬者らを供養する慰霊祭「千塚まつり」が開催されます。
大和路アーカイブ – 千塚まつり
県立橿原考古学研究所(橿原市)は、旧県立室生高校の校舎(宇陀市)を活用した「室生埋蔵文化財整理収蔵センター」を開設しました。
同研究所が行った遺跡調査で出土した収蔵物の保管のほか研究施設としての活用も検討しているとのこと。
2014年4月3日 奈良新聞
筆者注
考古学研究では、出土した文化財を整理して安全に保管する事が重要です。しかしそのためには多大なスペースが必要となり、各研究機関にとって深刻な問題となっています。一方で少子化などの影響で学校の統廃合が相次ぎ、余剰となった校地・校舎の有効活用が課題となっています。今回は両者のニーズがマッチした形で有意義な活用が図られる事が期待されます。
2014年3月18日にあった国の文化審議会の答申で、西方寺(宇陀市)の薬師如来立像や金峯山寺(吉野町)の金剛力士立像など4件が、新たに重要文化財に指定されることになりました。これで県内の指定件数は1185件(うち国宝149件)となります。
西方寺の薬師如来立像はヒノキの寄せ木造りで像高167.2 cm。鎌倉時代の1278年、2千人を超える人たちが寄進して、1日で造りあげた「一日造立仏」であることが、胎内に入っていた文書から判明しているものです。