高市郡明日香村の天武・持統天皇陵(7世紀後半)に日本考古学協会など15学会の代表16人が立ち入り調査を行いました。
立ち入りを許されたのは、ほかの陵墓と同じく墳丘の裾までですが、1時間半にわたり、地表や地形を見て回って、いくつかの成果がありました。実際に見たからこそわかることが何点か確認され、調査後に橿原市で行われた検討会でも活発な議論が交わされました。
今回、八角形を示す角の部分は、土に埋もれて見えず、宮内庁が角部分に打ち込んだ杭(くい)をたどって歩き、八角形と推測したにとどまりました。明治時代に埋め戻され、どこにあるか不明になっている石室の入り口も確認できず「下からでは、頂上部の様子はわからない」と、上部まで立ち入れないもどかしさを訴える声も上がりました。
調査にあたった研究者らは、宮内庁が「静謐(せいひつ)」を守るためとして、長く非公開としてきた陵墓の立ち入り調査が定着したのは喜ばしいとしながらも、制約の多さから調査をさらに実のあるものにするためにも、今後の改善が望まれるという感想を述べています。
(2014年3月2日 読売新聞)